そしてかぜまかせ

日々穏やかに過ごすために心を落ち着かせよう

詩の朗読 53.元旦

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 元旦 新川和江 どこかで あたらしい山がむっくり 起きあがったような…… どこかで あたらしい川がひとすじ 流れだしたような…… どこかで あたらしい窓がひらかれ 千羽の鳩が放されたような…… どこかで あたら…

詩の朗読52. 空の青さを見つめていると

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 空の青さを見つめていると 谷川俊太郎 空の青さをみつめていると 私に帰るところがあるような気がする だが雲を通ってきた明るさは もはや空へは帰ってゆかない 陽(ひ)は絶えず豪華に捨てている 夜になっ…

和敬静寂

和敬静寂 (わけいせいじゃく) 茶道に関する心構えを表した言葉といわれています。 ・「和」とは、和合、調和、和楽。 お互いに尊重しあい仲良くすること。 ・「敬」とは、謙虚に相手を尊敬すること。 お互いに敬いあうという意味。 ・「清」とは、物と心が…

詩の朗読51. ふしぎ

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 ふしぎ 金子みすゞ わたしはふしぎでたまらない、 黒い雲からふる雨が、 銀にひかっていることが。 わたしはふしぎでたまらない、 青いくわの葉たべている、 かいこが白くなることが。 わたしはふしぎでたま…

詩の朗読50. 母をおもう

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 母をおもう 八木重吉 けしきが あかるくなってきた 母をつれて てくてくあるきたくなった 母はきっと 重吉よ重吉よといくどでもはなしかけるだろう おやすみなさい

詩の朗読49. 自分を贈る

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 自分を贈る 谷川俊太郎 母の日に 花を贈るのを忘れてもいい 母の日には あなた自身を贈ればいい あなたが誕生した日 母はあなたに世界を贈ってくれた この世界のどこかでずっと 母はあなたとともに生きてい…

詩の朗読48.かなしみ

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 かなしみ 谷川俊太郎 あの青い空の波の音が聞えるあたりに 何かとんでもないおとし物を 僕はしてきてしまったらしい 透明な過去の駅で 遺失物係の前に立ったら 僕は余計に悲しくなってしまった おやすみなさ…

詩の朗読47.こころ

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 こころ 金子みすゞ おかあさまは おとなで大きいけれど、 おかあさまの おこころはちいさい。 だって、おかあさまはいいました、 ちいさい私でいっぱいだって。 わたしは子どもで ちいさいけれど、 ちいさい…

詩の朗読46.三月のうた

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 三月のうた 谷川俊太郎 わたしは花を捨てて行く ものみな芽吹く三月に 私は道を捨てて行く 子等のかけだす三月に わたしは愛だけを抱いて行く よろこびとおそれとおまえ おまえの笑う三月に おやすみなさい

詩の朗読45.冬を選んで咲く花は

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 冬を選んで咲く花は 藤川幸之助 冬を選んで咲く花は 雪の白さに咲く花よ 風のぬくみを知る花よ 冬を選んで咲く花は 不言色した明日掬す 赤い花弁を持つ花よ 冬を選んで咲く花は 寒さ選んで咲く花よ 生きる証…

詩の朗読44.積もった雪

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 積もった雪 金子みすゞ 上の雪 さむかろな。 つめたい月がさしていて。 下の雪 重かろな。 何百人ものせていて。 中の雪 さみしかろな。 空も地面じべたもみえないで。 おやすみなさい

詩の朗読43.2月の小舟

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 2月の小舟 吉野弘 冬を運び出すにしては 小さすぎる舟です。 春を運びこむにしても 小さすぎる舟です。 ですから、時間がかかるでしょう 冬が春になるまでは。 川の胸乳がふくらむまでは まだまだ、時間が…

詩の朗読42. 夢売り

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 夢売り 金子みすゞ 年のはじめに 夢売りは、 よい初夢を 売りにくる。 たからの船に 山のよう、 よい初夢を 積んでくる。 そしてやさしい 夢売りは、 夢の買えない うら町の、 さびしい子等の ところへも、 …

詩の朗読41. ポスト

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 ポスト 尾崎まこと この秋の 深い空のどこかに 赤い切り傷のような ポストの入り口が 隠れていないか カポン! ふいに あかるい音がして あなたからの なつかしい便りが 僕のこころの底に 降りてくる カポン…

詩の朗読40. 散歩

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 散歩 長田弘 ただ歩く。手に何ももたない。急がない。 気に入った曲がり角がきたら、すっと曲がる。 曲がり角を曲がると、道はさきの風景がくるりと 変わる。くねくねとつづいてゆく細い道もあ れば、おもい…

詩の朗読39. せつな

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 せつな 谷川俊太郎 テーブルのうえにあったいちまいのかみ へやのドアをあけたらふわりとゆかへ くうきにささえられながら みぎひだりにすべるようにゆれておちてゆく そんなどうでもいいできごとがすき な…

詩の朗読38. わたしの庭の・・

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 わたしの庭の・・ 新川和江 わたしの庭の ハナミズキが 葉を おとす すると どこやら遠い谷間(たにあい)でも いっぽんのハナミズキが 葉を おとす そこにも 人はいるだろう わたしとは かかわりもなき その…

詩の朗読37. 太陽

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 太陽 八木重吉 太陽をひとつふところへいれていたい てのひらへのせてみたり ころがしてみたり 腹がたったら投げつけたりしたい まるくなって あかくなって落ちてゆくのをみていたら 太陽がひとつほしくなっ…

詩の朗読36. 夕焼け

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 夕焼け 黒田三郎 いてはならないところにいるような こころのやましさ それは いつ どうして 僕のなかに宿ったのか 色あせた夕焼け雲のように 大都会の夕暮の電車の窓ごしに 僕はただ黙して見る 夕焼けた空 …

詩の朗読35. ある日ある時

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 ある日ある時 黒田三郎 秋の空が青く美しいという ただそれだけで 何かしらいいことがありそうな気のする そんなときはないか 空高く噴き上げては むなしく地に落ちる噴水の水も わびしく梢をはなれる一枚の…

詩の朗読34. きみはねこの友だちですか?

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 きみはねこの友だちですか? 長田弘 一ぴきのねこと 友だちになれたら ちがってくる 何かが もっと優しくなれるかもしれない ねこは何もいわずに語る はげしく愛して ゆっくり眠る きみはねこの友だちですか…

詩の朗読33. 手

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 手 山村暮鳥 しっかりと にぎつてゐた手を ひらいてみた ひらいてみたが なんにも なかつた しつかりと にぎらせたのも さびしさである それをまた ひらかせたのも さびしさである おやすみなさい

詩の朗読32. 葡萄に種子があるやうに

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 葡萄に種子があるやうに 高見順 葡萄に種子があるやうに 私の胸に悲しみがある 青い葡萄が 酒に成るやうに 私の胸の悲しみよ 喜びに成れ おやすみなさい

詩の朗読31. ふろふきの食べかた

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 ふろふきの食べかた 長田弘 自分の手で、自分の 一日をつかむ。 新鮮な一日をつかむんだ。 スがはいっていない一日だ。 手にもってゆったりと重い いい大根のような一日がいい。 それから、確かな包丁で 一…

詩の朗読30. ある日ある時

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 ある日ある時 黒田三郎 秋の空が青く美しいという ただそれだけで 何かしらいいことがありそうな気のする そんなときはないか 空高く噴き上げては むなしく地に落ちる噴水の水も わびしく梢をはなれる一枚の…

詩の朗読29. 夕焼け

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 夕焼け 工藤直子 あしたは かならず 晴れるに ちがいないなあ あしたも わたしは たしかに 生きるだろうなあ あしたこそなにかを みるかなあ きっと そうでありそうに ちがいなくそうと 思いたい …………… そん…

詩の朗読28. 花

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 花 工藤直子 わたしは わたしの人生から 出ていくことはできない ならば ここに 花を植えよう おやすみなさい

詩の朗読27. あいたくて

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 あいたくて 工藤直子 だれかに あいたくて なにかに あいたくて 生まれてきた ―― そんな気がするのだけれど それが だれなのか なになのか あえるのは いつなのか ―― おつかいの とちゅうで 迷ってしまった…

詩の朗読26. われは草なり

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 われは草なり 高見 順 われは草なり 伸びんとす 伸びられるとき 伸びんとす 伸びられぬ日は 伸びぬなり 伸びられる日は 伸びるなり われは草なり 緑なり 全身すべて 緑なり 毎年かならず 緑なり 緑のおのれ…

詩の朗読25. ある時

静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 ある時 山村暮鳥 雲もまた自分のやうだ 自分のやうに すつかり途方にくれてゐるのだ あまりにあまりにひろすぎる 涯のない蒼空なので おう老子よ こんなときだ にこにことして ひよつこりとでてきませんか …

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