そしてかぜまかせ

日々穏やかに過ごすために心を落ち着かせよう

詩の朗読16. 白い自由画

 

 
 静かに

 ゆっくりと

 言葉を声に出してみましょう。

 

 

f:id:roku0000:20220319151935j:plain

 

 

 

 白い自由画

          丸山 薫 

 

「春」という題で

私は子供たちに自由画を描かせる

子供たちはてんでに絵の具を溶くが

塗る色がなくて 途方に暮れる

 

ただまっ白い山の幾重なりと

ただまっ白い野の起伏と

うっすらとした墨色の陰影の所々に

突き刺したような疎林の枝先だけだ

 

私はその一枚の空を

淡いコバルト色に彩ってやる

そして誤ってまだ濡れている枝間に

ぽとり!と黄色のひと雫を滲ませる

 

私はすぐ後悔するが

子供たちは却ってよろこぶのだ

「ああまんさくの花が咲いた」と

子供たちはよろこぶのだ

 

 

 

 

 おやすみなさい

 

 

プライバシーポリシー お問い合わせ