詩の朗読23. 自分はいまこそ言はう
静かに
ゆっくりと
言葉を声に出してみましょう。
自分はいまこそ言はう
なんであんなにいそぐのだらう
どこまでゆかうとするのだらう
どこで此の道がつきるのだらう
此の生の一本みちがどこかでつきたら
人間はそこでどうなるのだらう
おお此の道はどこまでも人間とともにつきないのではないか
谿間(たにま)をながれる泉のやうに
自分はいまこそ言はう
人生はのろさにあれ
のろのろと蝸牛(ででむし)のやうであれ
そしてやすまず
一生に二どと通らぬ道なのだからつつしんで
自分は行かうと思ふと
おやすみなさい