静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 われは草なり 高見 順 われは草なり 伸びんとす 伸びられるとき 伸びんとす 伸びられぬ日は 伸びぬなり 伸びられる日は 伸びるなり われは草なり 緑なり 全身すべて 緑なり 毎年かならず 緑なり 緑のおのれ…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 ある時 山村暮鳥 雲もまた自分のやうだ 自分のやうに すつかり途方にくれてゐるのだ あまりにあまりにひろすぎる 涯のない蒼空なので おう老子よ こんなときだ にこにことして ひよつこりとでてきませんか …
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 自分は光をにぎつてゐる 山村暮鳥 いまもいまとてにぎつてゐる 而もをりをりは考へる 此の掌(てのひら)をあけてみたら からつぽではあるまいか からつぽであつたらどうしよう けれど自分はにぎつてゐる い…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 自分はいまこそ言はう 山村暮鳥 なんであんなにいそぐのだらう どこまでゆかうとするのだらう どこで此の道がつきるのだらう 此の生の一本みちがどこかでつきたら 人間はそこでどうなるのだらう おお此の道…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 風景 銀色もざいく 山村暮鳥 いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな かすかなるむぎぶえ いちめんのな…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 星とたんぽぽ 金子みすゞ 青いお空のそこふかく、 海の小石のそのように、 夜がくるまでしずんでる、 昼のお星はめにみえぬ。 見えぬけれどもあるんだよ、 見えぬものでもあるんだよ。 ちってすがれたたんぽ…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 わからない 杉山平一 お父さんは お母さんに怒鳴りました こんなことわからんのか お母さんは兄さんを叱りました どうしてわからないの お兄さんは妹につっかかりました お前はバカだな 妹は犬の頭をなでて …
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 水のこころ 高田敏子 水は つかめません 水は すくうのです 指をぴったりつけて そおっと 大切に── 水は つかめません 水は つつむのです 二つの手の中に そおっと 大切に── 水のこころ も 人のこころ も お…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 行く 石垣 りん 木が 何年も 何十年も 立ちつづけているということに 驚嘆するまでに 私は四十年以上生きてきた 草が 昼も夜も その薄く細い葉で 立ちつづけているということに 目をみはるまでに さらに何年…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 ぼくは小さな雲だから やなせ たかし 生まれたところも しらないし いつ死ぬのかも わからない ぼくは小さな 雲だから ただたよりなく 空にいて 風にふかれて とぶだけさ ぼくは 無限の旅をする 雲に生まれ…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 白い自由画 丸山 薫 「春」という題で 私は子供たちに自由画を描かせる 子供たちはてんでに絵の具を溶くが 塗る色がなくて 途方に暮れる ただまっ白い山の幾重なりと ただまっ白い野の起伏と うっすらとした…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 宇宙(そら)の約束 山元加津子 自分の身体のその奥に 確かに確かに座っている 大きな宇宙の約束が いつもいつもささやいている いつかいい日の明日のために、いつもいつもささやいている 忘れないでね 大切…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 心 よ 八木重吉 こころよ では いつておいで しかし また もどつておいでね やつぱり ここが いいのだに こころよ では 行つておいで おやすみなさい
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 日の光 金子みすゞ おてんと様のお使いが そろって空をたちました。 みちで出会ったみなみ風、 (何しに、どこへ。)とききました。 ひとりは答えていいました。 (この「明るさ」を地にまくの、みんながお…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 ここ 谷川俊太郎 どっかに行こうと私が言う どこ行こうかとあなたが言う ここもいいなと私が言う ここでもいいねとあなたが言う 言ってるうちに日が暮れて ここがどこかになっていく おやすみなさい。
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 旅情 石垣りん ふと覚めた枕もとに 秋がきていた。 遠くから来た、という 去年からか、ときく もっと前だ、と答える。 おととしか、ときく。 いやもっと遠い、という。 では去年私のところにきた秋は何なの…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 朝のリレー 谷川俊太郎 カムチャツカの若者が きりんの夢を見ているとき メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている ニューヨークの少女が ほほえみながら寝がえりをうつとき ローマの少年は 柱頭を染め…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 祝福 谷郁雄 百年前 あなたはいなかった 百年後 あなたはもういない 木が葉っぱを 茂らせたり 散らせたり するのと同じように あなたは 嘘をついたり 恋をしたり いろいろと忙しい 幸せとは ただそこにいる…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 あしあと マーガレット・F・パワーズ ある夜、わたしは夢を見た。 わたしは、主とともに、なぎさを歩いていた。 暗い夜空に、これまでのわたしの人生が映し出された。 どの光景にも、砂の上にふたりのあし…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 日々草 星野富弘 今日も一つ 悲しいことがあった 今日もまた一つ うれしいことがあった 笑ったり 泣いたり 望んだり あきらめたり にくんだり 愛したり ・・・・・・・・ そして これらの一つ一つを 柔らか…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 落ちこぼれ 茨木のり子 落ちこぼれ 和菓子の名につけたいようなやさしさ 落ちこぼれ 今は自嘲や出来そこないの謂 落ちこぼれないための ばかばかしくも切ない修行 落ちこぼれこそ 魅力も風合いも薫るのに 落…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 見えない木 田村隆一 雪のうえに足跡があった 足跡を見て はじめてぼくは 小動物の 小鳥の 森のけものたちの 支配する世界を見た たとえば一匹のりすである その足跡は老いたにれの木からおりて 小径を横断…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 雨ニモマケズ 宮沢賢治 雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ 慾ハナク 決シテ瞋(いか)ラズ イツモシヅカニワラッテヰル 一日ニ玄米四合ト 味噌ト少シノ野菜ヲタベ ア…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 生きる 谷川俊太郎 生きているということ いま生きているということ それはのどがかわくということ 木もれ陽がまぶしいということ ふっと或るメロディーを思い出すということ くしゃみをすること あなたと手…
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 どうしてだろうと まど みちお どうしてだろうと おもうことがある なんまん なんおくねん こんなに すきとおる ひのひかりの なかに いきてきて こんなに すきとおる くうきを すいつづけてきて こんなに …
静かに ゆっくりと 言葉を声に出してみましょう。 わたしと小鳥と鈴と 金子みすゞ わたしが両手を広げても お空はちっとも飛べないが 飛べる小鳥は私のように 地面(じべた)をはやくは走れない わたしがからだをゆすっても きれいな音は出ないけど あの鳴る…
仏教では、「布施」は慈悲の心をもって他人に財物などを施す、六波羅蜜(ろくはらみつ)と呼ばれる、悟りを求める菩薩の6つの実践徳目のひとつと言われていますが、本来それだけを示す言葉ではありません。私たちの日常生活においてお金がなくても物がなくて…
なにかと慌ただしい毎日、やらなければいけないことが多すぎて大変だと思っていませんか。 気づいていないだけで、やらなくていいことをたくさんしていませんか。 もしかしたら、やらなくてもいいことを必死にこなしているだけなのかもしれません。 一日の行…
明珠在掌 (みょうじゅたなごころにあり) 禅語のひとつ。 「明珠」とは宝のことです。 それは、すでに自分の掌に在ると教えているのです。 誰でもすでに自分のその手の中に宝物を持っているが、なかなか気づかないものです。 これまで大切にしてきたものを…
人は心に余裕を持つのが難しいとき、他人のやさしさに助けられるものです。 心に傷を持つ人は、他人の心の傷にも敏感です。 どんなことを言われたら、どんなことをされたら心が傷つくかを知っているからです。 心の傷を乗り越えるには問題に立ち向かい辛さに…